NICOとスピッツと私と

NICOが先か、Spitzが先か。

あとがき

どっかで一回くらい突っ込まれたり、

怒られたりするかなと心配していましたが

最後までそこはかとなく緩く続けられてよかったです。


2004年に結成、2007年メジャーデビュー。

以来、彼らが不器用に四人五脚で生み出してきた曲は

私の人生の道しるべであり、私自身を投影する物語でした。

 

はりぼての翼や、浪漫飛行船や、時には命綱だけのバンジージャンプ

新しいものから初期のものまでその世界を振り返っていると

NICOの描く世界がどんどんリアルになっていった事に気づきます。

 

プレイヤや行方、image trainingは、幻想だったり空想だったりイメージの世界でした。

夢の中は居心地がいい。涙が出るほどの悪夢であっても、現実ではない。

いつまでもそのユートピアにいることだってできたはずなのに、

NICO Touches the Wallsはそこを飛び出した。

準備オーライ、任してちょうだい。と親指を立てて見せながら。

改めて思い返す。

少年たちが旅に出た理由は、Edenを探すためなのだと。

 

10年かけてその園へ辿りつく直前で、彼らはもう一度自分自身と対峙しました。

少年の向こうへ、いびつな存在へと変わってく自分たちにとって

何が必要で何が無駄なのか。己を再解釈するために。

夜の果てに置いてきた己を迎えに行くために。

 

はりぼての翼や、浪漫飛行船や、黄金の剣は今はもういらないのかもしれない。

時には命綱だけで飛んだバンジージャンプも、今ならもっと賢くやるのかもしれない。

ずっと感情移入してきた私からすると、少しさみしいです。

 

この10年で手に入れた武器を一度脱ぎ捨てて、それでも彼らは高らかに言うのです。

「正解はなくても戦うだけなのさ」

 

そして、たどり着いたばかりの一つ目のEdenを後にする。

 

ギター、ベース、ドラム以外に持ってきたものはほとんど置いてきたのかもしれない。

間違いないのは、勝者の歌声と揺るがない自信を手に入れたこと。

 

そして時々は思い出すのかもしれません。

風に乗ったことや空を飛んだこと。

 

今度はどんな方法で先に進もうか。

楽しそうに作戦会議をする背中がそこにはあります。

まだまだ旅を続けてほしい。

 

そして、ここまで連れてきてくれた彼らに

私からもひとつ約束しよう。

あなた達が何を「信頼します」と言ったのか分からないけれど。

 

明日あなた達が消えたとして、

私はあなたたちを絶対に想うと。


夜の数だけ日は昇るから、

いろんな場所で、いろんな日の出を見せてほしい。

 

 

こうしてまた、私の人生に彼らの音楽を重ねていくのである。

彼らの旅は続く。

 

「さあ響け。声を高らかに。この歌声が君に届くまで」

「さあGinger。滲まない想いを歌ってみるから」



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